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破壊的行動障害 (発達障害 アスペルガー症候群における二次障害 危険行動など)

破壊的行動障害
(発達障害 アスペルガー症候群における二次障害 危険行動などにおける重要メモ文献から)

この障害には,罹患した小児が周囲の人間(例,家族や学校職員,友人)を崩壊させる傾向をもつことから,このような名前がつけられている。最も多くみられる破壊的行動障害は,注意欠陥/多動性障害(学習障害および発達障害: 注意欠陥/多動性障害を参照 )である。

反抗挑戦性障害
反抗挑戦性障害とは,権威者に対して否定的,反抗的,敵意的な行動を反復的または持続的に起こそうとする状態である。診断は病歴聴取による。治療は,家族または養育者療法を併用した個人心理療法である。ときに,過敏性を抑えるために薬物も使用される。

反抗挑戦性障害(ODD)の有病率は,診断基準が非常に主観的であるため推定値に大きなばらつきがあるが,小児および青少年の15%にも上ると考えられる。思春期前では男児の患者の数が女児のそれを大きく上回るが,思春期以降ではその差は小さくなる。

ときにODDは行為障害の“軽度のもの”のように捉えられるが,この2つの障害は表面的な類似点が存在しているにすぎない。ODDの特徴は,過敏性および反抗性を特徴とする対人関係の様式である。しかしながら,行為障害をもつ小児は一見して良心が欠如しており,他者の権利を繰り返し侵害する─明らかな過敏性を全く認めないこともある。ODDの原因は不明であるが,大人たちによって騒々しい論争を伴う対人衝突のモデルが形成されている家族の小児に,最も多く発生しているものと考えられる。この診断は,限局性の障害としてではなく,さらなる調査および治療を要する基礎にある問題を示唆するものとして捉えるべきである。

症状,徴候,診断
ODD児には,容易にかつ反復してかんしゃくを起こす,大人と口論になる,頻繁に大人に反抗する,ルールに従うことを拒否する,故意に人の気に障ることをする,自分のミスや不正な行為を他人のせいにする,容易に不快になるまたは腹を立てる,悪意に満ち意地が悪い,などの傾向がある。ODDは,小児がこれらの症状のうちの4つ以上を最低6カ月間もち続けた場合に診断される。さらにそれらの症状が重度で混乱を生じるものでなければならない。ほぼ全ての小児および青少年が周期的に示す軽度から中等度の反抗行動に対して誤ってODDの診断を下さないように,注意が必要である。

無治療の注意欠陥/多動性障害(ADHD)をもつ小児において,しばしばODD様の症状がみられる。ADHDを適切に治療すればODD様症状も消失することが多い。さらに,小児期大うつ病(MDD)においても,優勢な気分が悲しみではなく過敏性の(小児期および成人MMDの間の重要な鑑別点)ODD児が存在するため,ODDと誤診されることがある。過敏性はODDの特徴でもあるため,これらの小児におけるMDDは無快感および自律神経症状(例,睡眠および食欲の障害)の存在によって同定されるのであるが,これらの症状は小児においては容易に見逃される。

予後と治療
予後は,基礎にある気分障害,家族機能異常,ADHDなどの同定および治療の成否に依存する。無治療の場合でも,ODD症例の大半は時間とともに徐々に改善する。

まずは,患児の行動をより社会的に適切な方向へ向けるために設計された報酬に基づく行動変容プログラムが,選択すべき治療法となる。さらに社会的技能の欠如した多くの患児に対しては,集団での技能訓練療法が有効となりうる。ときに,うつ病性障害に使用される薬物(小児および青少年における精神疾患: 予後と治療を参照 )が有効となることがある。

行為障害
行為障害とは,他者の権利や年齢相応の主要な社会規範またはルールを侵害するような行動を反復的または持続的に起こそうとする状態である。診断は病歴聴取による。有効性が証明された治療法は存在せず,多くの患児がかなりの程度の監督を必要としている。

何らかの行為障害(CD)を有する者の割合は約10%である。発症は通常,小児期後期または青年期前期であり,女児よりも男児の方がはるかに多い。病因は,おそらくは遺伝因子と環境因子の複雑な相互作用であると考えられる。CDを有する青少年の親は,しばしば物質乱用や反社会的行動に関与しており,ADHD,気分障害,統合失調症,または反社会的人格障害の診断を受けている割合が高い。しかしながら,CDはよく機能した健全な家族に属する小児にも生じうる。

症状,徴候,診断
CDを有する小児または青少年は,他者の感情や幸福に対する感受性を欠いており,ときに他者の行動を脅迫であると誤解することがある。いじめや脅迫を行ったり,武器を振り回したり使用したり,身体的虐待を行ったり,他者に性行為を強要したりするなどして攻撃性を示すことがあり,これら全てにおいて反省という感情をもつことはほとんどまたは全くない。一部の症例では,その攻撃性および虐待が動物に向けられる。このような小児または青少年は,器物損壊,詐欺,窃盗などに関与することがある。患児たちは欲求不満に対する耐性が低く,一般的に無謀でルールや親が課した禁止事項を破ってしまう(例,家出,学校の無断欠席などによる)。異常行動は男女間で異なる:男児では喧嘩,窃盗,破壊行動の傾向があり,女児では嘘,逃避,売春の傾向が強い。男女とも,違法薬物の使用および乱用の傾向があり,学校で問題を抱えている。自殺念慮が多くみられ,自殺企図は真剣に受け止めなければならない。

CDは,小児または青少年が直近の12カ月間に上記所見のうち3つ以上を示し,かつ直近の6カ月間に少なくとも1つを示す場合に診断される。そしてその症状または行動が,対人関係,学校,職場おける機能を障害するのに十分な程度のものでなければならない。

予後と治療
CDを有する若者の大半は成人期早期には破壊的行動を取らなくなるが,症例の1/3では破壊的行動が持続する。もちろん,多くが反社会的人格障害の基準を満たすことになる。早期発症は予後不良と関連する。一部の患者は,その後,気分または不安障害,身体表現性および薬物関連障害,成人期早期発症型の精神病性障害を発症する。CDを有する小児または青少年は,身体疾患や他の精神疾患を高率に発症する傾向にある。

薬物療法および心理療法による併存障害の治療により,患者の自尊心と自己制御が改善され最終的にCDのコントロールの改善が得られることがある。道徳的な説教や厳しく叱りつけることは無効であり,また避けるべきである。認知療法や行動変容法などの,個人心理療法が有効となる。しばしば,有害環境および他人からのしつけからの分離と一貫した行動管理のシステムのみで,成功の手ごたえを得ることができる。
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